旅を楽しむ大人に向けたトラベルグッズブランド「MILESTO(ミレスト)」。旅を快適&ファッショナブルに過ごすためのアイテムを取りそろえています。

「STLAKT」series × PROPELLER DESIGN
2016.10.26
[PEOPLE]
「STLAKT」series × PROPELLER DESIGN

シンプルですっきりとしたデザインの中に、持つ人へのさりげない心配りが散りばめられた「STLAKT(ストラクト)」は、ビジネス・プライベート問わず、日常のあらゆるシーンに寄り添う人気のシリーズ。今やMILESTOの象徴ともなっている「STLAKT」のデザインを担当したプロペラデザインのオフィスにお邪魔し、ものづくりの背景を伺いました。

Text : Marie Takemoto(IDEA INTERNATIONAL)

―“トラベル”“ノームコア”というキーワードのもと、「STLAKT」シリーズのデザインオファーを受けた時、どう思いましたか?

「デザイナーというと、デザイナー自身の好きなように、表現したいものをつくる、と思われがちですが、実際にそうやってものづくりをすることはとても難しいこと。私たちは自分が欲しいもの、持ちたいものが具体的にあって、それをデザインするのではなく、キーワードに対して、機能やデザインを追加していく、ということを得意としているので、しっかりとテーマを共有化することが重要な出発点になります。「STLAKT」のプロジェクトは、テーマやキーワード、ターゲットが明確でした。“ノームコア”というキーワードもとてもわかりやすく、イメージがしやすかったです。」

―これまでに「トラベル」という切り口でものづくりをしたことは?

「プロダクトとしては手掛けたことがありますし、バッグ自体はつくったこともありますが、“トラベル”というキーワードでバッグをデザインしたのは初めてでした。最初はいろいろなサンプルを買い集めてきて、実際に自分たちで使ったり、人に持ってもらったりして、“こうしたら持ちやすいかな”“こうなっていたら使いやすいかも”と浮かんできたものをひとつずつ落とし込んでいくという作業でした。抽象的なのは初めのキーワードの時点であって、その後は具体的な要素の落とし込みになっていくんです。普段、生活しているところで、使っている人からアイデアを抽出する。単純なようで、とても大事な視点です。」

―日常の中で使うものだから、実際に持つことで見えてくる課題に向き合って、解決策を紐解いていくということなんですね。デザインに落とし込んでいく段階で、苦戦したことはありますか?

「バッグというシンプルなものだからこそ、このシリーズのオリジナリティをどう表現するのか、ということが難しいなと感じました。世の中にシンプルなバッグは沢山あるし、そこにさまざまなデザインが足されているものもある。その中で人に受け入れられるバッグをどうつくるか、とても考えました。初めにイメージしたのは、“滑走路”。2本のラインがぱっと浮んで。それは視覚的な要素としてバッグのデザインに組み込みながらも、実はキャリーに取り付けられたり、ジャケットなどを引っ掛けられたり、旅をするときの“使いやすさ”という機能性を持たせています。」

―実際にバッグのかたちに落とし込んでいくのはどのように?

「全体の方向性がある程度固まったところで、紙や布で簡易的なサンプルをつくります。試作とはいえ、感覚的にイメージをつかむためにしっかりと原寸で。それを基に容量だったりサイズ感を検討しながら、議論を重ねて…その状態から次は具体的な指示書になっていきます。作業自体はアイテムによって担当が分かれているのですが、常に意見を交わしながら揉んでいくので、セパレートされている感じはありません。お互い悩みながら、それも共有しながらものづくりをしています。」

―見える部分だけでなく、機能性もデザインとして落とし込まれている「STLAKT」は、今やMILESTOの象徴的なシリーズになりました。デザインしているときから、その手ごたえはあったのでしょうか?

「自信はなかったです。初めてのプレゼンの時、なんとなく反応が薄いなぁという感じだったので(笑)思い描かれていることをちゃんと具現化できているのだろうか?と。それでも“やりきった!”という自信はデザイナーとしていつも持っています。」

「行き詰まることももちろんあります。例えば、ショルダーバッグのデザインの際には、初めに手掛けたボストンバッグから小さく落としていったのですが、最初は全体的にフラットな感じの“普通のショルダーバッグ”になってしまって…。ああでもない、こうでもない、と試作を繰り返しました。やはりここでも、みんなで持ってみて、問題点をみつけてひとつずつ解決していくというやり方ですね。だからこそ、これだ!というものが出来上がって、自信になるのだと思います。」

「あと『ALL』で実際のお客様の反応や意見を直接聞くことができる、というのが強みですね。実際に商品を手にとる人とのコミュニケーションによって、課題としてあげていたものが解決しているのか、1番わかりやすいかたちで知ることができます。デザインをして、商品化されたものが実際に売れる現場、人の手に渡る瞬間をみたとき、行き詰まっていた不安も晴れて、“やりきった!”という自信が生まれますね。」
※『ALL』…オフィスの一角で、プロペラデザインが手掛けてきた商品を販売する雑貨店。

―1つのチームの協同作業で、「STLAKT」は生まれたんですね。

「そうですね、色々な人を巻き込んで、火をつけて。MILESTOがあって、プロペラデザインのデザイナーがいて…それに実際バッグをつくるメーカーの存在もあります。バッグメーカーの感覚というものは、実際かたちに出るところなので、かなり影響が大きいと思います。1つのものづくりに対して、ブランドとデザイナーとメーカーが同じくらいの情熱を持って真剣に取り組めたら、本当に素晴らしいものが生まれる。STLAKTの場合は、担当者であるメーカーの社長が最初の提案をみた時に、これは面白い!とすごいやる気になってくれて。そこからまた話し合ったり、キャッチボールをしながら進めることができました。みんなが一緒にやってくれているから進んでいる、みんなのものだよねという意識でものづくりができたことが良かったと思います。」

▲ 『ALL』

―出張にプライベートに…これまでいろいろな場所を旅されているとか。思い出に残っている旅を教えてください。

「学生の時にタイに行ったんですが、安いツアーに申し込んだらちょっと管理が悪くて…貴重品以外の荷物を全部失くしてしまったんです。そしたら象が描いてあるTシャツを1枚渡され、これで勘弁してくれ!と。結局そのTシャツで1週間過ごすはめになりました(笑)」

―確かに、ある意味とても印象的な旅ですね(笑)

「アイルランドで噴火があったときも、ちょうどミラノサローネに行くときで。成田空港から飛んで、チューリッヒでトランジットだったんですが、私たちが飛び立った直後にその空港が封鎖になったり…。ミラノサローネには毎年行っていた訳でもないのに、なぜかそういうタイミングに遭遇するんですよね。でも幸いなことにいつもぎりぎりで大丈夫なんです。空港がストライキを起こして飛行機が飛ばない、という時もLCCだから帰れた、とか。思い返してみると、旅の時ってハプニングだらけ。でもだからこそ、記憶に刻まれて、思い出に残っているのかもしれませんね。」

清澄白河は清澄庭園のほど近く、もともと印刷所だったという古今が混在するオフィスで、デザインすることやものづくりの現場の話、旅のエピソードなど話題は尽きなく、“日常をデザインする人の力”“人を巻き込んで、一緒につくる”ということを教えて頂きました。現在も次のプロジェクトを進行中。より豊かになっていく「STLAKT」シリーズが愉しみです。ありがとうございました。